K. 706

ニ短調の声楽楽章(断片、歌詞なし)、K. 706

de Wolfgang Amadeus Mozart

Silverpoint drawing of Mozart by Dora Stock, 1789
Mozart, silverpoint by Dora Stock, 1789 — last authenticated portrait

モーツァルトの《ニ短調の声楽楽章》(断片、歌詞なし)K. 706は、1787年のウィーンで31歳のときに書かれた、真作ではあるものの未完の声楽スケッチである。言葉を伴わない形で伝わっており、完成された公的作品というよりは、私的な用途のために書かれた臨時的な多声作品というモーツァルトの比較的小規模な営みに属するものと見られる。[1]

判明していること

K. 706は、ニ短調の声楽楽章として現存しているが断片的で、歌詞は一切書き込まれないまま伝わっている。[1] 国際モーツァルテウム財団は本作を1787年のウィーンに位置づけており、この時期のモーツァルトの職業生活は、オペラや室内楽、そして友人や社交圏のための作品の継続的な制作にまたがっていた。[1] ただし本来の用途は明確ではない。歌詞がなく(さらに、より完全な楽譜が残っていないため)、特定の機会、典礼、あるいは演奏状況に確実に結びつけることはできない。

音楽内容

現存する紙片(1ページ以上)からは、カノン、あるいはそれに近い厳密な模倣書法に整合する、短い対位法的構想がうかがえる。テキストに導かれた朗誦的表現よりも、厳格な声部進行によって成立するよう設計された音楽である。ニ短調という調性から、この断片は親しみやすいパートソングよりも、簡潔で凝縮した表現世界を示唆するが、伝存資料があまりに少ないため、劇的あるいは宗教的な意味を与えようとする試みは根拠を超えることになる。残されたものは、ウィーン円熟期のモーツァルトが「工房」で試みたものを小さく垣間見せる断面——規律ある声楽対位法の実験——として聴くのが最もふさわしい。[1]

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[1] International Mozarteum Foundation, Köchel Verzeichnis entry for K. 706: dating (Vienna, 1787), key (D minor), status (authentic; extant), and work identification as a fragmentary vocal movement without text.