K. 370b

ホルン協奏曲の楽章 変ホ長調(K. 370b)

par Wolfgang Amadeus Mozart

Mozart from family portrait, c. 1780-81
Mozart from the family portrait, c. 1780–81 (attr. della Croce)

モーツァルトの《ホルン協奏曲の楽章 変ホ長調》(K. 370b)は、ホルン独奏と管弦楽のために書かれながら、冒頭楽章のみが現存する未完の作品である。1781年、25歳の作曲家がウィーンで筆を執ったものの完成には至らず、残されたのは楽章のごく冒頭部分だけで、モーツァルトが最後まで仕上げなかった協奏曲計画の存在をうかがわせる。

判明していること

K. 370bの番号に対応する全曲の協奏曲は現存せず、残っているのは変ホ長調の第1楽章冒頭—ホルン独奏と管弦楽のための開始部分—のみである。[1] この断片は一般に、1781年のウィーン—モーツァルトが同地でフリーランスの作曲家として活動を始めた最初の年—に書かれたものとされる。ちょうどこの時期、彼はウィーンの管弦楽様式を急速に吸収し、オペラや室内楽と並行して、より「公的」な性格をもつ器楽作品にも取り組んでいた。[1]

現代の演奏用資料では、K. 370bはしばしばKonzertsatz(協奏曲楽章)として扱われ、遺された数ページから演奏可能なスコアが整えられる。広く用いられている版の一つはロバート・D・レヴィンによって編まれた。[2]

音楽内容

残存する部分は、古典派の協奏曲第1楽章(Allegro)の書き出しを思わせる。調は、モーツァルトがホルンに好んで用いた変ホ長調で、楽器の自然倍音列に適した、明るく開放的な響きを生む。ここでは独奏ホルンが、弦と管楽器によるオーケストラを背景に、自信に満ちた外向的な役割を担い、独奏線は分散和音的な呼びかけや、18世紀後半のホルン書法に典型的なファンファーレ風の音型を軸に形づくられている。ウィーン初期の断片として、この作品は、1780年代後半のより雄大で劇的な間合いをもつモーツァルトのホルン協奏曲群へと通じるものを示しながらも、本格的な提示部が展開する直前で—じれったいほどに—途切れてしまう。[1]

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[1] IMSLP — work page for Horn Concerto in E-flat major, K. 370b (notes that only the opening of the first movement is known; general reference page).

[2] Breitkopf & Härtel (US) — publication page for Mozart: Horn Concerto in E-flat major K. 370b and Rondo, K. 371 (edition info; Robert D. Levin).