K. 554

4声のためのヘ長調カノン〈アヴェ・マリア〉(K. 554)

di Wolfgang Amadeus Mozart

Silverpoint drawing of Mozart by Dora Stock, 1789
Mozart, silverpoint by Dora Stock, 1789 — last authenticated portrait

モーツァルトの《4声のためのヘ長調カノン(1声部による)〈アヴェ・マリア〉》(K. 554)は、模倣技法の冴えを凝縮した小ぶりなア・カペラ作品で、1788年9月2日、ウィーンで彼の主題目録に記載された。[1] 32歳の作であり、後期ウィーン時代の小さな声楽曲であっても、信心的テクスト、仲間内の音楽づくり、そして磨き抜かれた対位法が一つに結び付くことを示している。

背景と文脈

モーツァルトのウィーンにおいてカノンは、単なる学究的な対位法の練習にとどまらず、友人や同業者が集う和やかな場で機知に富んだ、持ち運びも利く「食卓の音楽」としても機能していた。モーツァルテウムのKöchel Catalogue Onlineは、モーツァルトのカノンの多くがウィーンで生まれ、私的なサークルで重要な役割を果たしたこと——場合によってはテクストをモーツァルト自身が用意した可能性が高いこと——を強調している。[1] K. 554はまさにその世界に属する。親密な4声の小品で、初見でも歌えるほど短い一方、丁寧に聴けば報いる精妙さも備えている。

この作品は伝承が確かで真作と見なされており、同カタログは日付と場所を「1788年9月2日、ウィーン」とし、編成も4つの同声(V1–V4)と簡潔に記している。[1] この日付はモーツァルトの年譜の中でも目を引く。1788年は交響曲三部作(第39〜41番)の年であり、また聖と戯れの間を行き来する短いカノンが多く生み出された時期でもある。大がかりな公的儀式と結び付いていないとしても、K. 554は同じ後期様式——線の明晰さ、手段の節約、そして力みのない声部処理の達者さ——を映す「ミニアチュール」として、十分に注目に値する。

テクストと作曲

テクストは広く知られたラテン語の呼びかけ「Ave Maria」で、詩的な付加は施されていない。「4声のためのカノン(1声部による)」として、音楽は単一の記譜された旋律線から成り、模倣によって全体のテクスチュアが組み上がる——各歌い手が順にユニゾン(つまり、別の音程ではなく同じ音高)で入っていくのである。[1] 演奏では、響きが穏やかに積み重なっていく感触が生まれる。簡素な旋律として始まったものが、気づかぬうちに4声の織物のような肌理へと変わっていく。

K. 554は自筆譜の形で保存され、のちに筆写譜によって流布した。さらに比較的早い時期に印刷もされており(モーツァルテウムのカタログは、1804年にBreitkopf & Härtelが「VI Canons」を含む巻で「Erstdruck(初版)」を出したことを記している)。[1] 今日の演奏家がこの曲に出会う機会は、合唱曲集であることが多いが、無償で利用できる版やスキャン(たとえばIMSLP)を通じても触れられる。[2]

音楽的性格

K. 554はヘ長調で、その情感も相応に温かく、平明である——公的な宣言というより私的な祈りに近い。[1] カノン技法こそが要であり、モーツァルトは旋律を歌いやすく均整の取れたものに整え、重ねても濁らず、明晰さが保たれるようにしている。聴き手は、順に加わる各声部を、制御されたエコーのように追うことができ、重なり合う線から生まれる協和や穏やかな掛留も自然に立ち現れる。

この作品をモーツァルトのカノン群の中で際立たせるのは、まさにこの節度である。後期の多くのカノンは、冗談や方言、露骨な猥雑さで記憶されることが少なくない。対してK. 554は、同じ社交的ジャンルが、ラテン語の信心的テクストにも誠実さと品位をもって仕え得ることを示している。この小品には、後期古典派の理想が凝縮されている。すなわち、最小限の素材から最大限の音楽的意味を引き出すこと——一つの旋律線が、模倣によって増殖し、完結した自足的な合唱テクスチュアへと変貌するのである。

[1] Internationale Stiftung Mozarteum, Köchel Catalogue Online: KV 554 entry (authenticity, date/place, key, scoring, transmission, early print info)

[2] IMSLP work page: Canon for 4 Voices in F major, K. 554 (public domain editions/scans and basic work metadata)