テノールのアリア《Dalla sua pace》(K. 540a)ヘ長調
볼프강 아마데우스 모차르트 작

モーツァルトのテノール・アリア《Dalla sua pace》(K. 540a)は、1788年4月24日にウィーンで完成され、オペラ《ドン・ジョヴァンニ》のウィーン版におけるドン・オッターヴィオの差し替えアリアとして最もよく知られている。32歳のモーツァルトが書いたこの曲は、揺るぎない献身を音楽的にも劇的にも異例なほど凝縮して描き出している。[1]
背景と成立の経緯
1788年の春、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)は、ウィーンのブルク劇場に向けて《ドン・ジョヴァンニ》の準備を進め、その上演のためにドン・オッターヴィオの番号として《Dalla sua pace》(K. 540a)が追加された。[1] このアリアには「ウィーン、1788年4月24日」という日付があり、初演は1788年5月7日と記録されている。[1] 作品は自筆譜(短く独立した数ページのまとまり)として伝わり、後年の写譜も併存している。これは、オペラのウィーン改訂作業と結びついたままではありつつも、この曲が独立した一曲として早くから流通したことを示唆している。[1]
音楽的性格
簡素な曲として語られがちな《Dalla sua pace》だが、リリック・テノールのための声楽書法は実に周到である。旋律は主として順次進行で、あたたかなカンタービレを保ち、息の長いフレーズによって「揺るぎなさ」そのものが表現の核となるよう形づくられている。編成は古典派らしく明晰で、フルート、オーボエ、ファゴット、ホルン各2本に弦という透明な響きが、劇的な攪乱ではなく、穏やかな和声の動きによって歌を支える。[1] より華やかで技巧的なオッターヴィオのアリア《Il mio tesoro》と並べて聴くと、この挿入曲は内省的な対となって響く。ほとんど信心深いとさえ言える持続的なトーンは、少ない手段で多くを語るモーツァルト晩年ウィーン期の才能にふさわしい。
[1] Internationale Stiftung Mozarteum, Köchel-Verzeichnis entry for KV 540a: dating (Vienna, 24 April 1788), first performance (Vienna, Burgtheater, 7 May 1788), authenticity status, and instrumentation.