K. 633

《Quel destrier che all’albergo è vicino》(真作疑義・散逸)、K. 633

von Wolfgang Amadeus Mozart

Mozart family portrait by Carmontelle, 1764
The Mozart family in Paris, 1763–64 (Carmontelle)

モーツァルトのアリア《Quel destrier che all’albergo è vicino》(K. 633)は、散逸しており、さらに真作性に疑いがある舞台アリアである。伝統的には、モーツァルト一家がロンドンからハーグへ向かう旅の途中だった1765年頃、当時9歳前後のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)の作品として位置づけられてきた。楽譜は現存せず、この題名は主として後世の文献上の言及によって知られている。

現在わかっていること

《Quel destrier che all’albergo è vicino》(K. 633)は目録類で声楽と管弦楽のためのアリアと説明されるが、作品は散逸しており、モーツァルトへの帰属は疑わしいとされている。[1]

この題名は、メタスタージオの台本《L’Olimpiade》第1幕で登場人物リーチダ(Licida)が歌うアリアの一節と一致する。同テクストは18世紀にすでに多くの作曲家によって作曲されていた。[2] さらに、コンスタンツェ・モーツァルトが1799年2月13日に書いた後年の手紙には、現在は失われたロンドンの小冊子「Capricci」(1764年12月付)への言及があり、そこには「短い作品」とともにこの題名のアリアが収められていたと伝えられている。楽譜そのものが残らなくとも、題名がモーツァルト家の資料の中で流通していたことを示す証拠とみなされる。[3]

音楽内容

楽譜や断片が一切現存しないため、K. 633について音楽的に(調性、声域、構成、オーケストレーションなどを)記述することはできず、いずれも未確認である。言えるのはテクスト面に限られる。メタスタージオの詩節は、「厩の近くに来た馬が足を速める」という生き生きとした比喩で、自然に運動感を帯びたアリアの言葉であり、技巧的で推進力のある音楽設定に適していることを示唆している。[4]

[1] French Wikipedia – Catalogue Köchel entry noting K. 633 as ‘douteux, perdu’ (doubtful, lost) and dating (London).

[2] Metastasio Collection (Western University) – listing of the aria text “Quel destrier, che all’albergo è vicino” (Licida, Act I) from *L’Olimpiade*.

[3] Digital Mozart Edition – Constanze Mozart to Breitkopf & Härtel, 13 Feb 1799: mentions a London ‘Capricci’ booklet containing an aria titled “Quel destrier che all’albergo è vicino”.

[4] Padova University Press PDF – quotation and discussion of Metastasio’s text beginning “Quel destrier, che all’albergo è vicino” in the context of Licida’s character in *L’Olimpiade*.