モーツァルト:管楽のための《Andante》変ロ長調(断片)K. 384b
par Wolfgang Amadeus Mozart

変ロ長調の管楽八重奏のためのモーツァルト《Andante》(K. 384b)は、ウィーン最初期の数年間に書かれた作品のうち、わずかに残された短い断片である。1782〜83年、26歳の時にスケッチされたとされ、現存するのは自筆譜1枚のみ。ほどなくしてウィーンの大セレナード群へと結実していく、Harmonie(管楽アンサンブル)書法の萌芽をうかがわせる。
判明していること
国際モーツァルテウム財団のケッヘル目録(Köchel-Verzeichnis)では、K. 384bは変ロ長調の管楽合奏のための未完かつ現存する断片として記載され、作曲時期はウィーン、1782〜83年。またモーツァルトの真作であることが確認されている(「Authenticity: verified」)。[1]
現存する資料は自筆総譜で、1枚(「Partitur: 1 Bl.」)から成り、しかも片面のみ記譜(「1 beschr. S.」)されている。[1] こうした事情が、この曲が演奏可能な楽章として標準的レパートリーに入ってこなかった理由の一端を説明している。作品は、モーツァルトのウィーン時代の管楽曲に典型的な、8声部のHarmonie編成として伝わっている。
- 木管: オーボエ2、クラリネット2
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- 金管: ホルン2
- 木管(低音): ファゴット2[1]
音楽的内容
残っている部分がごくわずかなため、K. 384bは完成された緩徐楽章というより、《Andante》の着想の提示部のように読める。すなわち、対となる管楽器群によって、和声の土台が明確な変ロ長調の響きを端正に均衡させつつ、クラリネットとファゴットが、モーツァルト円熟期のHarmonieサウンドを特徴づける温かな「内声の合唱」を担うように配置されている。
この断片がとりわけ示すのは、1782年のウィーンという早い段階で既に、旋律の流れを途切れさせることなく管楽器どうしで受け渡しできる持続的なカンタービレの線を書くモーツァルトの本能である。この発想は、その後の管楽の大セレナード群、さらには同じ10年間に書かれたオペラにおける管楽書法の核心へとつながっていく。
[1] International Mozarteum Foundation, Köchel-Verzeichnis entry for K. 384b: status (fragment, uncompleted), dating (Vienna 1782–83), key (B♭ major), scoring, and autograph description.




