K. 693

管弦楽曲 ホ短調(断片)K. 693

de Wolfgang Amadeus Mozart

Unfinished portrait of Mozart by Lange, 1782-83
Mozart, unfinished portrait by Joseph Lange, c. 1782–83

モーツァルトの《Instrumentalstück in e》(管弦楽曲 ホ短調)K. 693は、1785年ウィーンで書かれた、ごく短い交響曲/管弦楽の断片で、現存するのはわずか16小節にすぎない。規模は小さいものの、ホ短調という調性はモーツァルトの管弦楽作品では際立って稀であり、ウィーン時代の充実期における、より深刻で劇的な衝動を示唆している。

判明していること

K. 693はモーツァルト真筆の管弦楽断片で、1785年ウィーンの作とされる。[1] スケッチは16小節で途切れており、完成した楽章の下書きというより、着想の冒頭を素早く書き留めたものの、ほどなく放棄された可能性を示している。[1] 資料は二つ折りの紙に残されているが、これは元来、Le nozze di Figaro, K. 492 のケルビーノのアリア「Non so più cosa son, cosa faccio」に関連するスケッチに用いられていたものだった。1785年の時点で、翌1786年初演に向けて完成させることになるオペラのための音楽的アイデアを、すでに蓄えていたことを思い起こさせる。[1]

全楽章の構想、意図された機会、あるいは「管弦楽のため」という一般的な обозначение を超える具体的な編成について、信頼できる証拠は残っていない。また、現存資料の記述から確実に言える作曲地も、ウィーン以上に特定できない。[1]

音楽内容

断片があまりに短いため、展開された交響的論理というよりは、暗い色調を帯びた冒頭の身振りとして読める。すなわちホ短調で開始し、ただちに緊迫した切迫感のある性格を打ち出すが、モーツァルトはその思考を途中で中断してしまう。[1] 1785年の創作—公開の場でのヴィルトゥオージティ(ピアノ協奏曲)と、Figaro の長期的な構想に主導された—を背景に聴くと、K. 693は、のちにより本格的に追究される厳しい管弦楽的レトリックへと一瞬視線を向けたもののように感じられる。たとえば、同じ1785年の早い時期に完成していたニ短調の《ピアノ協奏曲第20番 K. 466》に見られる方向性である。[2])

[1] Internationale Stiftung Mozarteum, Köchel-Verzeichnis entry for KV 693: dating (Vienna, 1785), fragment length (16 measures), and manuscript note about reuse of paper from a Figaro aria sketch.

[2] Wikipedia: overview and date context for Mozart’s Piano Concerto No. 20 in D minor, K. 466 (1785), used for cautious stylistic/historical comparison.