歌曲(リート)《Prüfung des Küssens》(「Meine weise Mutter spricht」)、K. 721(散逸・真偽不詳)
沃尔夫冈·阿马德乌斯·莫扎特

《Prüfung des Küssens》(「Meine weise Mutter spricht」)、K. 721は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)作とされながらも真偽が疑われている散逸作品の歌曲で、伝統的には1784年(モーツァルトがウィーンで私的な主題目録の作成を始めた年)に置かれてきた。現存する楽譜は知られておらず、確実に文献で裏づけられたリートというより、真偽不詳/偽作の可能性が高いカタログ上の項目として扱うのが適切である。
分かっていること
Köchel-Verzeichnisは《Prüfung des Küssens》(「Meine weise Mutter spricht」)、K. 721を、独唱(1声)のための散逸歌曲として挙げ、その真作性は疑わしいとしている[1]。テキストは、ドイツの詩人クラーマー・エーバーハルト・カール・シュミット(1746–1824)によるものとされる[2]。ただし厄介な点として、同じ冒頭句(incipit)は今日ではベートーヴェンの作曲による《Die Prüfung des Küssens》WoO 89の歌詞として広く知られており[3]、このことがモーツァルト作という帰属に疑問が呈されてきた一因である可能性がある。
旧来の二次的議論では、この題名がモーツァルト没後に流通した素材――とりわけコンスタンツェ・モーツァルトが出版社と持っていたつながりを通じて――と結び付けて語られることがある。しかしK. 721そのものについては、信頼できる音楽資料(自筆譜、初期写譜、印刷譜)のいずれも現時点で提示できず、当該項目はモーツァルト作品として未検証のままである[1]。
音楽内容
現存する楽譜が知られていないため、調性、声域、伴奏の有無、形式設計について、目録の最小限の記述(「独唱のための歌曲」)を超えて確実に述べられることは何もない。その結果、K. 721を1784年のモーツァルトのウィーン時代のリート(この時期は、洗練され、テキストへの感受性に富む声楽小品が多い)に確信をもって位置づけることはできず、演奏可能なレパートリーの一部としてではなく、真偽不詳の散逸項目として捉えるのが最も妥当である。
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[1] International Mozarteum Foundation — Köchel-Verzeichnis entry for KV 721, listing status (lost) and authenticity (doubtful).
[2] Wikipedia — biographical overview of Klamer Eberhard Karl Schmidt; notes the poem incipit in connection with later settings.
[3] LiederNet Archive — text page for Beethoven’s “Die Prüfung des Küssens” (WoO 89), showing the incipit “Meine weise Mutter spricht.”




