変ロ長調のAllegretto(断片)、K. 710
沃尔夫冈·阿马德乌斯·莫扎特

モーツァルトの変ロ長調 Allegretto(K. 710)は、現存する短い断片で、自筆譜として伝わり、ウィーン時代(おおむね1784〜1791年)に関連づけられている。1枚の用紙にのみ書き残されており、クラヴィーア(鍵盤)のため、あるいは舞曲アンサンブル作品の素材(草稿)だった可能性もあるとされるが、残された証拠からは本来の編成を確定できない。[1]
判明していること
インターナショナル・シュティフトゥング・モーツァルテウムの『ケッヘル目録』項目では、K. 710を変ロ長調の真正な現存作品で、しかも未完の曲として示し、題名を Allegretto in B flat for clavier or dance ensemble としている。[1] 典拠はモーツァルトの自筆資料で、2ページに記譜された1枚の用紙(「Partitur: 1 Bl. (2 beschr. S.)」)と説明され、同カタログの出典注記では1788年に年代づけられている。[1]
二次資料の一覧ではしばしば1785年頃に置かれるものの、モーツァルテウムのカタログがより慎重に示す位置づけは、ウィーン期の広い範囲である1784〜1791年である。[1] 伝記的に言えば、20代後半のモーツァルトがウィーンの演奏会活動に向けて強いプレッシャーのもとで書き続け、実用のための鍵盤作品や舞曲も多く手がけていた時期にあたる。そうした年々の仕事ぶりを踏まえると、ピアノ小品と舞曲草稿のあいだを揺れ動くような短い Allegretto が残っていることは、この時期の制作習慣とも整合する。[1]
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音楽内容
現存するのはごく短い部分のみで、大規模な形式設計というよりは、Allegretto に典型的な中庸のテンポで舞曲寄りの性格をうかがわせる程度の分量である。[1] 「クラヴィーア、または舞曲アンサンブル」という曖昧な指定は、紙面に書かれている内容が鍵盤で十分に成立して読める一方で、アンサンブル舞曲のための短縮スコア(概略譜)または還元可能な下書きとしても機能しうることを示唆している。ただし、完成稿としての続きがなく、明確な編成指示も見当たらない以上、楽器編成や形式についてこれ以上踏み込んだ断定を行うことは、史料が確実に支える範囲を超える。[1]
[1] Internationale Stiftung Mozarteum, Köchel-Verzeichnis entry for KV 710 (status, dating range, source description: autograph, single leaf with two written pages).




