変ロ長調の器楽曲(断片)、K. 711
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作

モーツァルトの《変ロ長調の器楽曲》(K. 711)は、1787年に書かれたごく短いスケッチが不完全な断片として残ったものにすぎない。しばしばピアノ曲の一群に分類されるが、記譜からは本来の演奏状況が判然とせず――鍵盤楽器のためだったのか、あるいは舞曲アンサンブルに関わる何かだったのか、確定できない。
判明していること
《変ロ長調の器楽曲》K. 711は、短い未完の断片が残るのみで、1787年の作とされる。作曲地については確実なことが言えない。[1] 近年の参照・整理の慣行では、この種の残片がモーツァルトの雑多な鍵盤楽曲と一括されがちだが、K. 711は後期ロマン派的な意味での完成された「性格的小品」というより、書き始めて途中で放棄されたスケッチとして捉えるのが適切だろう。[2]
モーツァルト31歳にあたる1787年には、こうした断片が、より公的で集中的な作曲活動の時期と並び立っている。とりわけ《ドン・ジョヴァンニ》の仕事が知られるほか、ウィーンの演奏会市場や家庭音楽の需要に向けた器楽曲・社交的な小品もさまざまに書かれていた。[3]
音楽内容
音楽的に言えることは控えめにとどまる。現存する1ページからは、変ロ長調で始まる調性的な書き出しがうかがえ、モーツァルトの実用的な鍵盤書法や舞曲関連の素材に結びつく、率直で実務的な肌理が感じられる――明快な和声の進行、規則的なフレーズの推進、そして鍵盤で十分に実現可能な(あるいは小編成アンサンブルの合図を鍵盤用に縮約したとも考えられる)テクスチュアである。[2] ただし断片は決定的な展開を示す前に途切れてしまうため、全体の形式や本来の目的(教材、舞踏会での実用、あるいはより大きな文脈のための着想が捨てられたものか)は、現存する記譜だけからは確定できない。
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[1] Bärenreiter product page: Miscellaneous Works for Piano (context for how fragments and small pieces are often grouped in modern piano collections)
[2] Digital Mozart Edition (Mozarteum): Neue Mozart-Ausgabe online publication search page (documents NMA volumes including sketches/fragments and piano miscellany)
[3] Reference overview: 1787 in classical music (broad context for Mozart’s major projects in 1787, including Don Giovanni)




