バルバラ・プロイヤーのための練習帳(K. Anh.H 1,01)ト短調
di Wolfgang Amadeus Mozart

モーツァルトの《バルバラ・プロイヤーのための練習帳》(K. Anh.H 1,01)は、1784年(当時28歳)におけるウィーンでの教育活動と結びつく、雑多な性格をもつ教育用写本である。そこに含まれる最もよく知られた楽曲は、弦楽四重奏のための短い《フーガ ト短調》で、別個にK. Anh.H 12,17として目録化されている。これは断片的な伝承のかたちで保存されており、来歴も確実ではない。
背景と文脈
1784年—ピアニスト=作曲家としてウィーンで成功の絶頂にあった時期—ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)は複数の上級の私的門弟を教えており、その中にはバルバラ(バベッテ)・プロイヤーもいた。モーツァルトは彼女のために協奏曲を書き、また自ら演奏もしている [1]。現在プロイヤーと関連づけられて「練習帳」と呼ばれる文書(K. Anh.H 1,01)は、モーツァルトの公的な出版の流れというより、こうした実務的な教育の現場に属するものである。現存する状態からは、ひと続きに周到に構想された単一作品というより、学習用素材を小規模に取り集めてまとめたコレクションであったことがうかがえる [2]。作者帰属と年代は一般に1784年とされるが、場所については確実な記録がなく、写本の伝承も統一的というより雑多な性格を示している [2]。
音楽的性格
この資料群に結びつく「譜面上の音楽」として最も具体的に挙げられるのは、弦楽四重奏のための《フーガ ト短調》(K. Anh.H 12,17)である [3]。厳格で対位法的な語法で書かれ、単一の主題が4声にわたって模倣的に扱われる—まさに声部連結やアンサンブルの均衡について、生徒の耳と技術を鍛えるのに適した凝縮度の高いテクスチュアである。断片として伝わる形であっても、各パートの対等性(内声部が単なる伴奏にとどまらない)が強調されており、より劇場的で協奏曲中心の作風と並行して、1780年代半ばのモーツァルトが「学識ある」対位法へ関心を深めていた流れとも響き合う [4]。総じてK. Anh.H 1,01は「歌曲集」としてよりも、モーツァルトのレッスン室を垣間見せる窓として聴かれるべきだろう。そこには規律ある職人技、ト短調の重み、そして音楽的思考の実験室として構想された室内楽書法がある。
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[1] Barbara Ployer: biographical overview and connection to Mozart (Vienna pupil; concerto performances).
[2] MozartPortal composition page for K. Anh.H 1,01 (exercise book for Barbara Ployer; includes reference to the fugue K. Anh.H 12,17; basic catalog framing).
[3] IMSLP work page for the Fugue in G minor for string quartet, K. Anh.H 12,17 (score links and work identification).
[4] Digital Mozart Edition / Neue Mozart-Ausgabe: String Quartets, VIII/20/1/3 (editorial discussion referencing fugue fragments and transmission issues).




