レチタティーヴォ《No, caro, fa coraggio e in me ti fida》(K. 713、疑作)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作

伴奏付きレチタティーヴォ《No, caro, fa coraggio e in me ti fida》(K. 713)は、ソプラノと管弦楽のための短い声楽曲で、真作かどうかが疑わしい作品である。ケッヘル目録では1790年7〜8月に作曲されたものとして掲げられているが、その来歴が不確かで、資料の伝来経路も途切れがちなため、記載に食い違いが生じ、時には鍵盤用の小品として誤って目録化されることさえあった。
判明していること
ケッヘル目録は、K. 713をソプラノと管弦楽のための伴奏付きレチタティーヴォ(recitativo accompagnato)《No, caro, fa coraggio e in me ti fida》として、1790年7〜8月(場所不詳)に位置づける一方、作者帰属は疑わしいものとしている。[1] 近年の上演用資料や解説では、このテキストを1790年のウィーンの演劇的文脈と結び付け、ピエトロ・アレッサンドロ・グリエルミのオペラ La quakera spiritosa に関連する pasticcio への寄与として説明している。[2]
この年代設定がおおむね正しいとすれば、このレチタティーヴォはモーツァルト最晩年のウィーン時代(34歳)の作品に当たり、その時期には舞台のための円熟したオペラ作法も展開されていた——その語法において伴奏付きレチタティーヴォは、アリア風のナンバーの間を結ぶ、緊迫した劇的な要所として機能する。
音楽内容
公刊された注釈は、本作を伴奏付きレチタティーヴォ(すなわち通奏低音のみではなく、管弦楽が句読点のように関与する形)と位置づけ、語りに近い朗唱を、応答的な管弦楽の身振りが支えることを示唆している。[2] こうした概略的特徴を超えると、現存する楽譜資料に関する信頼でき、かつ容易に検証可能な情報(規模、具体的な編成、調性設計など)は、入手しやすい目録要約では確実に裏づけられていない。したがってこのレチタティーヴォは、モーツァルト真作群の中で確固とした位置を占める作品というよりも、舞台上で果たした可能性のある役割に主要な関心が向く、小規模な劇的断片として理解するのが適切である。
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[1] Wikipedia summary table of the Köchel catalogue entry for K. 713 (lists title, genre, doubtful status, and July–August 1790 dating).
[2] Cedille Records album page “Divas of Mozart’s Day” (program note context describing “No caro, fa coraggio” as an accompanied recitative connected with Guglielmi’s La quakera spiritosa, 1790).




