オーボエ協奏曲 ヘ長調(未完)、K. 293
av Wolfgang Amadeus Mozart

モーツァルトの未完の《オーボエ協奏曲 ヘ長調 K. 293》(1778年)は、単一楽章の断片的な“胴体”としてしか残っていないが、22歳の彼が協奏曲をどのように構想していたかを垣間見せる、きわめて魅力的な手がかりを与えてくれる。現存する数ページは、独奏と弦による意欲的な設計を示唆しており、後世の編集者たちはそれを(慎重に)演奏可能な形にしようと試みてきた。
背景と文脈
モーツァルト(1756–1791)がヘ長調のオーボエ協奏曲の現存断片を書きつけたのは、一般に1778年秋と考えられている。パリから戻った後の不安定な数か月のあいだで、ウィーン、そしてより広くはハプスブルク圏に断続的に滞在していた時期にあたる。[1] いずれにせよ、残された楽譜は未完であり、通常の意味での実用的な三楽章協奏曲の全体像を伝えるものではない。[2]
現代の録音や上演の多くは、見かけ上第1楽章と思われる部分に対する編集上の補筆(事実上の復元)に依拠している。これは、K. 293が完成された委嘱作品というより、現存する作曲草稿として理解するほうが適切であることを示している。[3]
音楽的性格
現存する部分は、通常ヘ長調の冒頭楽章 Allegro と見なされ、独奏オーボエと弦楽オーケストラのために書かれている(独奏者とトゥッティが応答する、典型的な協奏曲の対話)。[2] 断片でありながら、その書法は、管楽独奏者に対するモーツァルトのいっそう“歌う”ようなアプローチを指し示す。オーボエ声部は息の長いフレーズで形づくられ、オペラ的な線の感覚を思わせる一方、弦のテクスチュアには、1770年代後半の協奏曲楽章に期待される明快なリトルネッロの骨格がうかがえる。
現存資料は途中で途切れるため、独奏の華やかさとオーケストラのリトルネッロをモーツァルトがどのように均衡させるつもりだったのか、あるいは中心部に短調による緊迫の高まりをどこに意図していたのかといった大規模な問題の多くは、確かな記述というより編集者の判断に委ねられている。それでも、この断片の語法は、まもなくウィーン時代の成熟した協奏曲で花開くことになる公的な輝きと抒情的な親密さの融合を、モーツァルトが練り上げていた時期のものだと疑いようがない。
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カタログにおける位置づけ
K. 293は、1770年代後半におけるモーツァルトの管楽器ヴィルトゥオジティへの関心を示す、小さいながらも示唆に富む証言であり、より確実に伝承された管楽器のための協奏曲作品群と並び立つ。[1] その未完性はまた、モーツァルト断片作品の“その後”をも先取りしている。後世の音楽家たちは、魅力的な草稿を完成された協奏曲と取り違えることなく、知見にもとづく復元がどこまで可能かを繰り返し試してきたのである。
[1] Digital Mozart Edition (Mozarteum Salzburg): New Mozart Edition V/14/3 (Concertos for Flute, Oboe, Bassoon) — editorial discussion and dating evidence for K. 293/416f.
[2] IMSLP: Oboe Concerto in F major, K. 293/416f — work page with movement status, instrumentation, and edition information (NMA).
[3] BBC Music Magazine (Classical Music): review noting K. 293 as an unfinished 1778 concerto movement often encountered in completion (e.g., Odermatt).




