二声のためのカノン《Beym Arsch ist’s finster》(K. Anh.C 9.03)
沃尔夫冈·阿马德乌斯·莫扎特

短い二声カノン《Beym Arsch ist’s finster》(K. Anh.C 9.03)は、モーツァルトの名のもとに伝えられてきた、猥雑な内容のウィーン風ラウンド(輪唱)で、一般に彼が27歳だった1783年頃の作とされる。歌詞は検閲的な代替版(「Die Nacht ist finster」)でも流布し、現代の目録ではこの帰属は誤りと扱われている。
背景と経緯
K. Anh.C 9.03は、冒頭の言葉「Beym Arsch ist’s finster」(「尻のあたりは暗い」)で始まる、ごく短いカノンとして伝わっている。通常は1783年頃のウィーンに位置づけられ、夕食後やGeselligkeit(気軽な社交の集まり)で友人同士が歌った、他のユーモラスなカノンやパートソングを生んだのと同じ、私的で打ち解けた環境に属すると考えられている [1]。伝承の過程には、19世紀初頭の写しや印刷譜が含まれ、そこでは消毒された題名「Die Nacht ist finster」が用いられている。これは、演奏や出版のために「品のよい」言葉へ差し替える慣行が長く続いてきたことを示す [1]。1790年代後半にはすでに、モーツァルトの遺産と出版者に関わる書簡の中でこの歌に言及が見られ、(真の作者が誰であれ)彼の死後まもなく「モーツァルト作品」として流通していたことがうかがえる [2]。
音楽的性格
譜面上、この曲はカノン(輪唱)として作られている。すなわち、簡潔で歌いやすい旋律を一定の短い間隔で第2声が模倣し、手の込んだ展開を伴わずに、素早く緊密な対位法が生まれる仕組みである [1]。今日では、低声部を加えて小さな三重唱のように提示した編曲で出会うことも多いが、基本となる目録記載はあくまでカノンであり、史料でも別の「浄化された」歌詞とともに流通している場合が少なくない。その効果は壮大な合唱的響きというより、礼儀正しい作曲技法と、あえて下品な言葉づかいとの間に生じる滑稽な摩擦にある [1]。
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[1] Mozarteum (Köchel Verzeichnis) work entry for KV Anh. C 9.03: status/authenticity, transmission, sources, early prints.
[2] Digital Mozart Edition (Mozarteum), English transcription PDF: Nissen correspondence (1799) mentioning “Beym Arsch ists finster” and its catalogue reference.




