キリエ ニ短調(疑作)、K. 90
av Wolfgang Amadeus Mozart

モーツァルトの《キリエ》ニ短調(K. 90)は、ミサ通常文のうちキリエのみを独立して作曲した作品で、ひとつの楽章として完結した形で伝わる一方、その真作性には疑いがあると見なされている。一般にはザルツブルクで、モーツァルトが15〜16歳だった1772年7月〜12月頃の作と位置づけられる。[1]
背景と文脈
ザルツブルクにおいて、10代のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)はカトリック礼拝の音楽的日課へといっそう深く組み込まれていき、教会の儀式でただちに用いられる短く実用的な典礼楽章が求められ、また書かれ得た。K. 90は機能や規模の点でその世界に属するが、その作者性については長らく慎重に扱われてきた。モーツァルテウムの目録は本作の真作性を疑わしいとしている。[1] 現代の演奏用資料では、ザルツブルクの教会実務で容易に確保できた編成を反映し、オルガン伴奏付きの簡潔な合唱曲《キリエ》(SATB+オルガン)として提示されるのが一般的である。[2][3]
音楽的性格
合唱(SATB)と通奏低音としてのオルガンのために書かれたこの《キリエ》は、ニ短調によるふさわしく悔悛的な性格を帯び、合唱書法も、モーツァルトの舞台作品に見られる劇的な華やかさというより、より古い、stile antico(学究的で教会的)な理想を想起させる。[2] その簡潔さ自体が示唆的である。単一楽章として、特定の典礼上の必要を手際よく満たすことを意図したかのように、楽器的な色彩に頼るのではなく、慎ましい和声、明確な終止の要所、そしてオルガンの揺るぎない支えに依拠している。[3] ザルツブルク時代の思春期のモーツァルトという文脈で聴くと、この曲は——真の作者が誰であれ——信心の節度と実務的な音楽性とが交わる当時のあり方に合致している。第一に儀礼に奉仕するための音楽であり、感銘を与えるとしてもその枠内において、という姿勢である。[1]
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[1] Mozarteum (Köchel Verzeichnis) work entry for K. 90: status ‘authenticity: doubtful’ and dating in Salzburg (07–12/1772).
[2] Bärenreiter US product page for *Kyrie in D minor, K. 90* (editor Monika Holl), listing instrumentation SATB choir and organ.
[3] Carus-Verlag work page for *Kyrie in D minor* KV 90 (1772 ?), giving scoring (SATB, organ), key, and approximate duration.




