K. 29

ヴァイオリン・ソナタ第14番 ニ長調(K. 29)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作

Mozart family portrait by Carmontelle, 1764
The Mozart family in Paris, 1763–64 (Carmontelle)

モーツァルトの《ヴァイオリン・ソナタ第14番 ニ長調》(K. 29)は1766年、家族とともにハーグに滞在していた時期に作曲された。当時の彼はおよそ10歳だったとされる[1]。鍵盤楽器とヴァイオリンのために書かれ、初期の「オランダ・ソナタ」(K. 26–31)の一群に属する。これらは作品4として出版され、ナッサウ=ヴァイルブルク家のカロリーネ王女に献呈された[2]

当時のモーツァルトの生活

1766年初頭、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)は家族とともにオランダを巡り、宮廷文化の中心地として知られ、後援や出版の機会にも恵まれたハーグで活動していた[2]K. 29は、この滞在中に書かれた「鍵盤楽器とヴァイオリンのためのソナタ」(K. 26–31)という小さなまとまりの一部で、作品4として一括して刊行され、献呈によって宮廷への献上作として位置づけられた[2]

音楽的特徴

K. 29はニ長調による簡潔な2楽章構成のソナタで、鍵盤楽器とヴァイオリンのために書かれている(音楽の主たる展開は多くの場合鍵盤が担い、ヴァイオリンはそれを補強したり応答したりすることが多い)[1]。構成は明快で、次のとおり。

  • I. Allegro molto [1]
  • II. Menuetto(トリオはニ短調)[2]

冒頭のAllegro moltoは、明るく均整の取れた楽句と明確な終止が際立つ。大規模なドラマを志向するというより、サロンでの演奏や教育的な披露に向くような、素早く要点を伝えるための音楽として設計されている印象を与える[1]。第2楽章では典雅なMenuettoへと移り、トリオでニ短調に転じることで、この作品でもっとも鮮やかな対比が生まれる。色彩が一瞬翳りを帯びたのち、ニ長調に戻って落ち着いた終結へ至る[2]

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[1] IMSLP — work page for Violin Sonata in D major, K. 29 (catalog data; movements; instrumentation; NMA mirror).

[2] Wikipedia — overview of the Dutch set Violin Sonatas K. 26–31 (The Hague, dedication, publication context; movement listing for K. 29 including Trio in D minor).