奉献唱「Sub tuum praesidium」(疑作)、K. 198(ヘ長調)
von Wolfgang Amadeus Mozart

奉献唱《Sub tuum praesidium》(K. 198)は、ヘ長調による簡潔な聖母マリアへの楽曲で、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756–1791)が17歳前後だった1770年代初頭のザルツブルクと結び付けて語られてきた。長らくモーツァルト作品として伝承されてきたものの、帰属はなお不確かで、近年の主要な作品目録ではしばしば「疑作」として扱われる。
背景と文脈
ラテン語テキスト Sub tuum praesidium(聖母マリアへの祈り)は、この奉献唱が、1770年代後半のモーツァルト宗教作品に多く見られる壮麗な祝祭ミサというより、ザルツブルクの教会で日常的に用いられた信心音楽のレパートリーの一部に属することを示している。本作は自筆譜が現存せず、資料状況のためにモーツァルト作であるかどうかが問題となってきた。たとえばIMSLPは、モーツァルトの作者性が不確かであること、またGroveが作品目録にこれを含めていないことを指摘している。[1]
それでも本作は、Kleinere Kirchenwerke(「小規模な教会作品」)という系譜の一環として校訂・演奏されてきた。IMSLPで閲覧できる楽譜はNeue Mozart-Ausgabe(NMA)に基づくもので、ザルツブルクの教会実務と結び付いた簡潔な典礼作品群の中に位置づけられている。[1]
音楽的特徴
Sub tuum praesidium は、声部(ソプラノとテノール、または伝統によっては2つのソプラノ)に、弦楽と通奏低音(オルガン)を加えた編成で書かれており、奉献唱という機能的役割にふさわしい簡素な音色パレットとなっている。[1] ヘ長調の全体的な情感は親密で嘆願的である。声部は滑らかな順次進行を基調とし、並行的に書かれる箇所も多い。抑制された弦のテクスチュアと、和声の土台を固める低声部/オルガンの通奏低音がそれを支える。
仮に本作が真正のモーツァルト作品だとすれば、その魅力は名人芸的な誇示にあるというより、簡潔さを旨とする教会様式にある。すなわち、若い作曲家が明確なフレーズを形づくり、2つの上声を軽く輪郭づけられた伴奏と釣り合わせ、レトリックを祈りの内省的な調子に寄り添わせている点である。結果として、典礼に「収まりよく」作られた音楽——短く、歌いやすく、静かに説得力をもつ——が生まれているが、作者問題が残る以上、その繊細さを確信をもってモーツァルトに帰するには慎重さが求められる。
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[1] IMSLP work page for Sub tuum praesidium, K. 198/Anh. C 3.08 — catalog numbers, scoring, notes on uncertain authorship, and NMA publication details




